最近、副業をしている地方公務員が徐々に増え始めているようです。
自治体によっては副業への取り組み制度化し、公務員へ副業を促しているのだとか・・・。
そんな公務員による副業ですが、どうやら狙いは副収入ではないようです。
副業を行うことによって多様なキャリアを学び、本業への意識向上を図る。
そんな地方で活躍する公務員が増えることで、そこに住む人の期待値も高まり、地方PRも行えるとあって様々なメリットがあります。
近年は副業制度化の背景もあり、実際に地方PRに貢献している公務員も出現してきているようです。
そこで、今回はそんな地方公務員でありながらも副業を行っている方をご紹介したいと思います。
- 公務員として働かれている方
- これから副業を始めたい方
- 社会貢献活動に興味のある方
上のような人はぜひ最後まで読んでみてください。
それでは、社会貢献にまで発展している公務員の副業事情をご紹介していきたいと思います!
消防士がサッカーコーチに!吉尾大輔さんの副業事情
奈良県の市消防本部で勤務する消防士吉尾大輔さん(34)さんは生駒市のサッカーチームF.C.ゴレイロのコーチとして副業を行っています。
消防士でありながら「読まれてるぞ」「周り見て準備しとけよ」とパス回しを練習する小学生に指示を飛ばします。
勤務サイクルがあるものの、休日とチームの練習日が合う日はグラウンドへ趣き、コーチとして勤務しているようです。
元々、吉尾さんは大学生時代にチームでアルバイトをしており、消防士へ就職した後はボランティアをしていたようです。
2017年8月に生駒市が副業の基準を設けたことにより、届け出を行い、月に4~5回の指導をして1万円程度の謝礼(給与)を受け取っています。
吉尾さん自身も「少しでも収入があることで家族の理解も進み、チームに関わる意欲も高まった」と話されているようです。
生駒市は副業の定義として公益性が高く、継続的に行う地域貢献活動と定めています。
2018年8月には副業による活動エリアを市内だけでなく、市外までにも広げました。
地域活動の活性化や職員のスキル向上を狙って、現在は消防職5人、事務職1人がスポーツチームのコーチやNPO講師などを勤め活躍しているとのことです。
吉尾さんは消防士の本職を活かし「防災の呼び掛けも、子供たちや保護者ら市民に身近な存在としてアプローチできる」と話されています。
生駒市のサッカーチームF.C.ゴレイロを主宰する元サッカー日本代表の垣内輝久さん(67)も吉尾さんの活躍を歓迎しており、「指導者も人材不足。経験豊富な人を地域から拾い直せるのはありがたい」と話しているようです。
NPO法人で活動される生田哲也さんの副業事情
公務員の副業事情について紹介していますが、1つ疑問に思った方もいるのではないでしょうか?
というのも、地方公務員は原則、営利目的の兼業を禁じられています。
有償の地域活動は公務員の規定に抵触する恐れがあるとされ、副業は禁止されているというわけです。
ですが、自治体がそれでも副業を解禁する背景には働き方改革の推進の他にも少子高齢化に伴う人材難が深刻化している現状があるようです。
副業解禁には働き手にも雇用主にもメリットがあります。
そんな働き手不足で副業解禁に乗り出した例もあります。
1995年の阪神大震災による被害を受けた神戸市は、復興を担ってきた市民団体の人材が不足しているようです。
担当者も「地域団体の元気がなくなれば、まちの活力も失われる。市職員約2万人が地域経済活性化の原動力になりうる」と話しており、自治体の先人を切って副業基準を定めたようです。
2017年4月には地域貢献応援制度という基準を定められています。
住宅都市局建築指導部で働く生田哲也さん(58)は地域貢献応援制度を使い文化財保存に携わるNPO法人で活動したようです。
法人運営は厳しい状態であったため、数万円の報酬を辞退したようですが「制度がなければ参加は難しかった」と語っています。
また、市役所は頻繁に異動があるため、担当が細分化されています。
生田さんは「民間で働くことで地域の課題の全体像がわかる」と話しており、学術関係者と専門家のつながりにより、本業へもフィードバックできるメリットがあると話されています。
図書館館長がギター職人に!松本孝寿さんの副業事情
地方公務員の趣味を自治体が副業として追認したケースもあります。
三重県名張市で市立図書館館長を務める松本孝寿さん(53)は2009年から公務員とギター職人の仕事を両立し、二足のわらじを履いているようです。
当時、商工振興を担当し働いていた松本さんは35歳の時「ものづくりの本質を勉強する良い機会になる」と休日を利用して大阪市のギター職人に弟子入りしたそうです。
年に数本のペースではありますが、作成したギターは山崎まさよしさんなどのプロミュージシャンの手にも渡ったことがあるとのことです。
三重県産のヒノキの間伐材を使ったギターということもあり、地域のPRにもなり、市が「県の事業や地域の活性化にかなう」(人事担当)と12年に副業として認可したようです。
全く違った業種でありながらも本業へフィードバックできそうです!
松本さんは「公務員の副業が広がれば、本業の『市民サービス』に対する意識が高まるはず」と話しており、自分に続く人がどんどん出てきてほしいと思っているようです。
現在は未だ公務員は副業が禁止というイメージがどうしても払拭できていません。
公務員が副業をしても良い、趣味を活かして副業できるという情報がさらに世間に発信されれば、副業に限らず仕事に対するモチベーションも上がり離職率の低下も見込めると思います。
副業に取り組む公務員の増加により社会問題解決へ期待
2018年1月に政府は、副業や兼業を原則として認める方向で検討することが求められるとするガイドラインをまとめました。
多様なキャリアのあり方を認める働き方改革が進む中、副業認可へ慎重だった企業を後押しする姿勢を明確に打ち出しました。
これからもっと副業認可の輪が広がれば良いなと思います。
副業を認める動きは企業だけでなく国家公務員へも広がっています。
まだ一部ではありますが、NPO法人など公益性の高い仕事に限り副業を認める方向で、政府が指針づくりを現在進めています。
日本の公務員数は地方と国家をあわせて約333万人で、就業者のおよそ5%を占めています。
自治体によっても副業へのイメージはそれぞれで、副業容認に踏み出せていないところも未だ多い。
安易な副業によって処罰を受ける公務員も多く、今後の線引きや指針内容に注目していきたいところです。
今回ご紹介した地方公務員の副業事情はほんの一部になります。
今後も副業に取り組む公務員が増え、働き方に対する地域の意識が変われば、社会問題である働き手不足や地方活性化などの改善が見られるかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?
今回は地方公務員でありながらも副業を行っている方のご紹介と副業事情についてご紹介させていただきました。
まだ、世間の副業に対するイメージは定着していませんが、多様なキャリアを認める働き方改革の推進によって今後さらに企業や自治体が副業を認可し市場が拡大されることが見込めます。
- 副業により働き手と雇用主がwin-winの関係になる
- 副業認可の背景には社会問題が影響している
- 趣味を活かして副業をすることができるということ
これから副業を始めようと考えている方や、公務員の方などは以上の3点をおさらいしていただければと思います。
自分の職場では「副業禁止されているから・・・」と言わず、自ら副業推進を発信して様々なことに挑戦してみるのも1つの方法です。
確かに副業はデメリットとされるものもありますが、しっかりと納得し双方にメリットがあると分かれば認められるのではないでしょうか。
市が副業の環境を整備したことは素晴らしいと思います。